フラワーナイトガールのプレイヤーコミュニティが生んだ「あふん」という言葉がいかに革命的な概念であるか
この記事を読んでいて思ったが、valveはフラワーナイトガール(以下、お花)から「あふん」という概念を学ぶべき。お花には洋ゲーに足りないものがすべてある。
あふんという言葉の意味は以下を参照されたい。
「あたまフラワーナイト」の略。AFNとも表される。意味合いとしては所謂「頭の中がお花畑」(大ボケ野郎)か。
なお本来フラワーナイトのスペルは『Flower Knight』なので略し方としてはAFKが正しい。
しかし敢えて『Knight』を『Night』とすることで自分の無知を晒し、他者に対しては自分の心象悪化を和らげ、
自虐として使う際はより滑稽さを際だたせることができる。
そもそも「あふん」という言葉の持つ測り知れない価値に気が付いているゲーム屋はいまのところYourGames(以下、ゆあげ)だけかもしれない。この言葉は、日本文学において白樺派から生まれた「私小説」と肩を並べるほどのインパクトを持つ概念だと思う。
「あふん」という概念を理解するための端的な一例をあげる。
ゲーム内イベントの一種にカードめくりというのがあって、実装当初は伏せられたカードをめくるゲームで、当たりのカードにカーソルを合わせるとキャラクターが反応を示す。この時点で十分にあふん向けだったわけだが、アップデートを繰り返すごとにヒント機能が追加され、ヒントボタンを押すと押されている間は伏せられたカードが透過表示されるようになった。ヒントとは…と戸惑うプレイヤーコミュニティに対して繰り出された次の矢は、「当たりのカードは色が違うので見ただけでどれをめくるべきか分かる」というもはや何がしたいのか分からないほどのヌルゲー化。しかしこれこそがジャパニーズ「あふん」の精神なのだ。
ゆあげはプレイヤーをバカにしているわけではない。むしろプレイヤーを振れば金の出る財布とでも思っているような他のソシャゲ運営と比べて、プレイヤーのニーズに徹底的に真摯に向き合っている。向き合った結果がこのプレイヤーの頭を悪くするヌルゲー仕様なのだ。
プレイヤーはこういう刺身のツマみたいなゲームに思考リソースやUI操作工数を割きたいわけではないのだ。何も考えずにクリックしていれば数字が増えるという癒しを求めている。それを理解せずに「ゲームを遊ばせよう」などという上から目線のデザインをするからvalveは今回のサマーセールのような過ちを犯す。
また、このあふんという概念の奇跡的なところは、この用語がプレイヤーのコミュニティの中で生まれた用語であるということだ。ゆあげは見事にこの概念の神髄を理解し、自らのゲーム開発思想に取り入れた。海外ではユーザ主体のmod文化がバトロワやオートチェスなど、新たなゲームジャンルを創り出すという革命的な潮流の起点となっているが、これはその事績に比肩するほどの偉業と言っていい。
だがこの偉業を世界が理解するまでには、まだ少しの時間を要するだろう。