zenioのゲーム記録

自分用ゲームプレイ日記

【レビュー】SEKIRO (追記部分にネタバレあり)

 

youtu.be

 

 ソウルシリーズを手掛けた宮崎秀高監督が放つ最新作。

ソウルシリーズに3D忍者ステルスゲームの要素を加えたようなゲームシステムで、レベルを上げてパラメータを強化するシステムがなく、純粋なアクションゲームに近くなっている。

とにかく滅茶苦茶面白い。間違いなくゲーム史上に残る傑作。

120時間で4周、トロフィーコンプまでプレイした。

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非常に高難度というレビューも多く、確かに敵の攻撃力が高く初見殺し的なギミックも数多く用意されており、良く死ぬ。難敵と評判のまぼろしお蝶やラスボスは攻略法を見つけてそれを完遂できるようになるのに何時間もかかった。が、敵のモーションの隙に気づき、パターンを覚えてしまえば言うほど大した難度ではない。とにかく主人公の機動力が高くガード、弾きの性能も非常に良好で、アイテムやステルスを利用した搦手も豊富に用意されているので、周回プレイは過去のソウルシリーズよりも簡単だった。

またソウルシリーズの定番であったマルチプレイの要素が完全に排除されており、100%純粋なソロプレイゲームとなっているので、どうしても勝てない敵に対して助っ人を呼ぶという救済措置がなくなっているが、マルチプレイを実装する上での制約を受けないというメリットもあって一概にマイナス要素とはなっていない。

 

シリーズ全体を俯瞰すると、「ソウルボーン」というジャンルのベースを作ったデモンズソウル、ダークソウルの戦闘は、回避主体、あるいは盾受け主体で相手の攻撃を凌ぎ切ってから反撃、というリズムを繰り返すスタイルで、面白くはあったが単調で爽快感に欠けるという欠点がついて回った。タイミングよく防御することでただ防御するだけでなく、大きな反撃チャンスを得られるパリィ(ジャストガード)の要素もあったが、もともと主人公の体力が低い上に回復手段が限られているというバランスから、とりあえず回避・盾受けが安定で、リスク&リターンを考えればパリィは魅せ技か時短目的以外であまり使う必要がなかった。(対人戦では良く使われていたが)

 

その欠点を解消すべく設計されたのがブラッドボーンで、盾が廃止されリゲインというシステムが導入された。敵の攻撃を被弾した直後に相手を殴り返せば失われた体力の一部が回復されるというシステムで、明らかに上記の盾受け、回避主体のプレイよりも派手な斬り合いにメリットが生まれるように設計されている。これによりゲームのテンポは向上したが、やはり回避して斬る、という根本的な作業感は拭いきれないままだった。実際に自分のプレイでも、パリィはあまり活用せずにクリアしてしまった。結局、パリィはそこそこ難度が高い上に失敗した時のデメリットが非常に大きいので、比較的簡単でミスったときの立て直しも容易な回避主体の方が安定したからだ。

 

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ブラッドボーン公式サイトより

そして今作「sekiro」ではついに盾受け・回避主体プレイからの脱却をついに成功させている。その鍵が「体幹」と「弾き」である。

体幹ゲージ」は敵・自キャラ双方に体力ゲージと独立して存在しており、攻撃を被弾するかガードすることで減少し、なにもしないことで自動的に回復する。体力ゲージが少なくなると体幹ゲージの回復速度は目に見えて落ちる。体幹ゲージがなくなると体勢が崩れて大きな隙を晒すことになり、敵の体幹ゲージを削りきると「忍殺」という一撃で相手を死に至らしめる攻撃を発動することができる。ボスは体幹を削り切って忍殺を出さないと倒せないシステムになっており、これが意味するところは、回避主体のプレイでは相手の体幹を削ることができないので、倒すのに非常に時間がかかり、その分自キャラの被弾の可能性も増えるということである。つまり、前に出て常に斬り合うスタイルを選択することに大きなメリットが生まれている。

そしてもう一つの「弾き」は、簡単に言えば極めてリスクの低いパリィである。早めに入力することを心がけてさえいればパリィ失敗しても通常ガードに化けるだけなので、失敗してもリスクが低い。しかもタイミングもかなり甘く設定されており、成功率も高い。その分リターンも少なく設定されていて、成功すれば自分の体幹ゲージを守ると同時に相手の体幹ゲージを削れるが、大きな反撃チャンスになることはあまりない。

この二つのシステムによって、逃げ回って回避しながらチクチク削る戦略の優位性が大きく低下した。序盤はチクチク削りながら戦い、体幹ゲージの回復が緩やかになってきた後は一気に前に出て倒し切るなど、ボス戦の流れに変化が生まれるようになった。(腕に自信があれば最初から前に出て体力ゲージをほとんど削らないまま最短で忍殺を決めることもできるし、最後までチクチク削りきることもできる)

 

 行き当たりばったりでとりあえず要素を足してみました、というような質の低い続編を展開してしまうメーカーも多い中で、明確な意図に基づいた取捨選択によって進化を続けているフロム・ソフトウェアの地力を感じられるという意味でも素晴らしい作品。 対人戦、ショートカット開通の喜び、ビルドの楽しみ、コスプレ等の要素がソウルシリーズに比較して排除されているが、そう考えるとまだまだ進化の余地を残している気もする。

 

 以下ネタバレを含む内容

以下、プレイの思い出をつらつらと語る。

 

OPが終わって警備を潜り抜け、御子と対面したが、うっかりボタン連打していてムービーを見逃した。刀の銘が「楔丸」と、明らかにデモンズオマージュで痺れる。

最初の小ボス的な組頭 山内重則はあっさり倒せたので、なんだ意外と楽じゃん、と大きな勘違いをする。

イベント進行、弦ちゃんに手も足も出ず切られるが、ここで初めて主人公がまだ忍義手でなかったことに気づく。てっきりOPから義手だったものとばかり…。

初めて出会う侍大将(河原田直盛)で死にまくって全然勝てない。2時間近く戦い続けた。このゲームまじやばいと思った。失敗してもガードに化けるパリィのコツや、「危」マークが出たときの反応がきっちりできるようになれば楽勝になったが、ここでソウルシリーズとはかなり違うことを学んだ。

 赤鬼に到着する前に鈴を鳴らして平田屋敷へ。弥山院圓真でちょっと苦労したが見切りを覚えて使えるようになり倒せた。うわばみの重蔵も結構苦労した。ヒット&アウェイで倒せるまでそこそこ時間がかかった。結局野上玄斎は使わずに勝った。

 

そしてまぼろしお蝶。これは本当にキツかった。5~6時間かかったと思う。最初の難関が下段攻撃への反応。分かっているのに避けられない。河原田で学んだはずだが、攻撃パターンが豊富で反応しづらい。それでも第一段階は上空からの落下攻撃など、比較的見切りやすい攻撃の隙をついて倒せるようになったが、第二段階がさらにつらい。特にキラキラ光る追尾弾にガンガン体力を削られるし、下手に追尾弾を避けるとその隙に攻撃を叩きこまれる。第一段階をほぼノーダメで倒せるようになっても、第二段階の追尾弾を安定して避けられるまでにかなり時間がかかった。結局追尾弾への対処が安定したことと、お蝶が上にいる時に手裏剣で落とせば追撃チャンスになることを発見して倒せた。

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このセリフと「やるじゃないか、せがれ殿」は何度聞いたか…

 鬼刑部はびっくりするくらい弱かった。初見で爆竹さえ使わずに倒せてしまって拍子抜け。続く火牛も尻を追いかけ続ければ楽に倒せることを発見して初見でクリア。鬼刑部は4周目までで一度も死んでない。今思えば、先に鬼刑部と火牛倒して数珠と攻め力手に入れてからお蝶行った方が楽だったと思うが、苦労したおかげでかなり弾き、回避に慣れることができた。

 

ここから行ける場所が一気に広がるが、 一周目は攻略サイトを見ない主義なのでどこに行ったものか散々迷った。鉄砲砦ルートはシラフジにぼちぼち苦戦。ジラフは初見で何もできないまま虐殺されて戦慄する。後々仙鋒寺の仙雲と戦ったときに攻撃せずに弾きだけで楽勝という事実を知るまで手が出せなかった。

 仙鋒寺はまず修験道へ行くルートがどうしても発見できず、ここだけ攻略サイトに頼ってしまった。あれ分かりにく過ぎません?
甲冑武者はそこそこ苦労した。橋の下に落とさないと倒せないと知らなかったから、槍を当てて鎧をはいでみようとしてみたり、いろいろ無駄な苦労をした。倒せたのは偶然。

天守閣の弦一郎はそれほど苦労しなかった。お蝶にあっさり勝てるレベルになれば、もはや敵ではない。弦一郎手前の居合使いとの対戦がなかなか楽しかった。

途中首なしに挑んだが、あまりのクソゲーに断念。ゲーム終盤で力押しで倒した。ついったらんどで傘使うと楽と教えてもらったので試してみたら本当に楽だった。

 

香の材料集めは弦一郎前に行けるマップは全部探索済みだったので早かった。

獅子猿、首無し復活演出にめちゃびびる。こういうのが攻略サイト見ない楽しみなんだよね。獅子猿はとにかくヒット&アウェイだけで削り切った。第一段階は走り回っての高速戦闘が楽しかったが、逃げ回るだけなのでかなり時間がかかった。クソ投げがガードできることを発見するのに少し時間がかかって無駄なことをした。第二段階もひたすら逃げまくって、スライディング斬りの隙だけを切って倒した。二周目以降、攻略サイトを見て槍でムカデを引き出すやりかたを知るとほんと楽勝なんだけど、あれは自力で発見するの難しい。

仙鋒寺、特に三猿に苦労することもなく不死斬りゲット。この時はお米ちゃんの性別は男だと思っていた。「不死斬り、確かにもらい受けた」のシーンとか、「刻まれた銘は「拝涙」。それがこの刀の真の名だ」前とか、めちゃくちゃカッコいいと思った。主人公が持つ武器とは思えない禍々しい赤いオーラとかほんといい。

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不死斬り、確かにもらい受けた

水生村、相変わらず攻略サイト見ないので読み方が分からなかった。みぶ?すいせい?みずなま? 自分の中ではみずなま村と呼ぶことにする。(みぶが正解)

みずなまお凛はあまり苦労せずに倒せたが、幻影破戒僧で久々の苦戦。こいつはとにかく「危」マークの出る攻撃が下段薙ぎ払いと突きの二択になっているのが厄介。これに適応するのに結構時間がかかった。回転五連横薙ぎの5段目を前ステップでかわして攻撃を当てられることを発見した時には痺れた。難しかったが戦っていて楽しい。ラスボスと並んで、このゲームで戦ってて非常に楽しいボスの一人。

 

続いて忍軍襲来、 梟は本当に隙が無い。確実に反撃できる隙が手裏剣からのジャンプ縦斬りしか見つけられず手を焼いた。うっかり間違えて突きを出してしまうと見切られて体力ゲージをごっそり持っていかれるのも地味にキツい。つい指が突きを出してしまう。2~3周目になってくるとだいたいどのボスも楽に勝てるようになってくるが、梟だけは隙が少ないので苦労する。

このあたりでようやく「一文字・二連」の尋常ならざる強さに気が付く。たとえガードされても自分の体幹を回復できるというのが強すぎる。これがあったら他の流派技要らんよね。仙峯寺・菩薩脚が強かったらしいが、自分がプレイしたのはアップデート後だったので。

あまり面白いボスではないが、ここの忍殺演出「影落とし、御返しいたす」もかっこよかった。狼が竜胤を授かるきっかけになった平田屋敷での不意打ちに対する意趣返しってことですよね。

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御返しいたす

ちなみに二周目でお蝶を倒したときに、この時も影落としで止めを刺していることに気が付いて痺れた。対忍者用の技なのか。と思ったけど孤影衆のボスには使ってないな。

 

 twitterで源の宮への移動方法が凄い、と聞いていたので身構えていたが、さすがに藁人形ロボットは予想外だった。いまだになんであれが藁人形ロボットでないとダメなのか良く分からない。伏線とか意味があったのだろうか?

 

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クリア後の記念撮影

源の宮は美しかった。ソウルシリーズはだいたい陰惨で不潔な環境のマップが多かったが、仙峯寺といい源の宮といい、sekiroは本当に美しいロケーションが多い。と思ってマップに入った瞬間クソグロい敵がうじゃうじゃ出てきて、やっぱりこれはフロムゲーなんだなと思った。特に内裏の共食いしてるやつ、やばいでしょ…。クソデカ金魚(のちに鯉と判明)も怖くて良かった。ちなみに鯉の餌やり場と壺の貴人維盛の行き方が最後まで分からず、これも後から攻略サイトの世話になった。分かりにくすぎでしょ。淤加美の長 静は錆び丸が特攻なのを分かっていたので楽勝、ついでに道中で雷返しの練習もできてよかった。桜竜もリトライ二回くらいで倒せた。最後の一撃を当てるまではノーダメで安定だが、いまだに最後の一撃を当てる直前が安定しない。

 

続いて内府軍襲来。この時点で氷涙も常桜の花も持っていなかったので不死断ちルート確定。どっちみち最低4周する気だったので別によかったが、盗み聞きが必須フラグになっているのは意外と見つけにくい。

怨嗟の鬼、キツかった。獅子猿と同じくヒット&アウェイで、縦の叩きつけの隙だけを狙って体力を削っていったが、第二形態から使ってくる叩きつけ→地を這う炎が本当に避けられなくて苦労した。泣き虫が効くことも知らなかったし、そもそもこの時持ってなかったのでとにかく実力だけで勝負。結局ここでは霧がらすを初めて活用した。あとでついったらんどで傘使ったら楽勝と教えられたので二周目やってみたら本当に楽だった。もう全部傘でいいじゃん!!倒した後、婆と喋ってようやく鬼の正体が仏師だったと悟る。勘の良い人は戦ってる最中に分かるのだろうが、自分は必死過ぎて無理だった。3周目くらいで攻略動画見てると、接近戦でヒラヒラ避けながら戦っているのを見て衝撃を受ける。こうやって倒すもんだったのかw

 

ラスボス。第四形態まであることは分かっていたが、最初の弦一郎も滅茶苦茶強く感じたので戦慄する。が、ちょっと慣れたら弦一郎はノーダメで行けるようになった。距離を開けるとだいたい見え見えの飛び込み突きを撃ってくるので見切りの丁度良いカモ。これだと時間がかかりすぎるので、なるべく近くで戦い、やばいと思ったら距離を開けて突き待ち。

問題は剣聖。刀モード、槍モード1、槍モード2。

刀モードは苦労したが、弾きのリズムが覚えられるとかなり楽に勝てるようになった。正面中距離で向き合っているとだいたい居合か通常の斬撃が来るので、居合なら光った瞬間左前ステップからの反撃、斬撃はきっちり弾く。弾くと大股に歩きながら横に回り込んでの突きがかなりの高確率で来るが、この回り込みのモーションが超親切で分かりやすいので、この後の突きを避けて一文字二連を叩きこむ絶好のチャンス。慣れてくると体力をほとんど削らずに体幹だけ削って忍殺を取れるようになる。

槍モードは隙の少なさに苦労した。弾きのタイミングを覚えながらジャンプ攻撃と突きの隙をついてちまちま削る。

槍モード2は雷返しが決まるかどうかだけの問題。

結局ラスボス倒すのに7時間くらいかかったように思う。これにて初回クリア。

二周目、OPの弦一郎が簡単に倒せてしまって驚く。これ負け確定のイベント戦じゃなかったのかと。

 

獅子猿二匹はクリア後に気づいて倒したが、追加で出てきた獅子猿を速攻で沈められたので意外と簡単に勝てた。その分二周目で苦労した。

 

結局不死断ちエンド→人返りエンド→竜の帰郷エンド→修羅エンドと四周した。

いやもうほんと面白かった。2019年のGOTYは揺るがないでしょう、これは。 

 

エンディング雑感

 

・不死断ち … 救いに乏しいものの個人的に一番しっくりくるエンド。正史があるとすればたぶんこれではないだろうか。キーアイテムである忍義手がフォーカスされていてsekiroというゲームを象徴するエンドになっているように感じる。また義手を受け継ぐ次の忍びがいつか現れるのだろうという事を予感させる。また、表エマエンドとも言える。

 

・人返り … 御子が旅立った後のビジョンが何一つ見えない。これで良かったのか感が否めなさ過ぎる。また不死断ちエンドの方が狼が生きているにも関わらずエマの未亡人っぽさが強調されているので、こちらはあまりいいところのないエンディングだと言える。

 

・竜の帰郷 … これは西遊記だ。間違いない。別名お米ちゃんエンド。正史というよりはifルートのように見える。お米ちゃんすき。夏とか、ひんやりしてて抱き心地も良さそう。

 

・修羅 … 梟の死に方がダサカッコいいルートだが、それよりも圧倒的に印象に残るのはエマの死に様か。どう見ても狼に惚れてるのに、その狼に忍殺(shinobi execution)決められるという薄幸ヒロインのポテンシャルを最大限に発揮したルート。別名裏エマエンド。死ぬときに一瞬狼の頬に手を伸ばそうとするのがえろい。あと爺強すぎ。4周目とは言えもうちょい簡単に勝てるかと思ったけど、なんなんあれ。半チート技の竜閃を駆使して勝ってしまう。

 

追記:エマについて

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完璧超人

 本ゲームの正ヒロインかつ、超重要回復アイテムの瓢箪を強化してくれる上に強い、賢い、美人の上にこっそり主人公の狼に惚れてるとかいう完全無欠超人であるわけです。その上エンディングでは不死断ちでも永遠に見守るだけの感じだし、それ以外だと殺されるか未亡人になるかお米ちゃんに取られるかの不遇っぷりで、薄幸属性もばっちり完備している。ツッコミどころと言えばどう考えても世界観にそぐわない名前くらい。なのになぜか人気があまりない。

 自分はめっちゃいいと思うんですよ。何がいいかと言うと、酒を飲ませるシーンがあるところです。

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この後の「まるで他人事のような物言い」も最高です

めっちゃ良くないですかこれ。フロムはほんと分かってる。火防女も人形ちゃんもいなくてもsekiroのヒロイン力は十分戦えると思うんですよ。それだけなんですが。