zenioのゲーム記録

自分用ゲームプレイ日記

【レビュー】メタルマックスゼノ -滅ぼされざる者たち-

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こういうゲームです。

キャラデザは織田non氏。

 

 

2018年発売のメタルマックスシリーズ最新作。

正式なナンバリングではないとのこと。

当方、メタルマックスシリーズはかなりファンで、1と2はリメイク含めて複数周回クリアするほど好きだった。3以降はハード未所持のため未プレイ。

4/28プレイ開始、5/2にクリア。

 

本作のレビューは散々で、特にオールドメタルマックスファンからの評判が悪いようだが、2~3000円の同人ゲームやダウンロード専用ゲームと思えば結構良い出来で、例えば「ネフェシエル」のようなダンジョン探索型のRPGが好きな人は気に入ると思う。個人的にはクリアまでかなり楽しく遊べた。これがメタルマックスの正式なナンバリングではなく、外伝であるというエクスキューズがあるので、その点は割り切れる。

 

シナリオもグラフィックもかなりチープ感を醸し出しているので、7~8000円のフルプライスゲームを期待して買うとギャップを感じるのかもしれない。まあ、本作の定価は7500円なのだが…。個人的にはちゃんと遊べるゲームなら多少チープでもこの価格に文句はない。

 

 

 そもそもメタルマックスメタルマックスたらしめているものは何か?

 

一つは戦車。

男の子は武器とかモンスターと同じくらい車が好きなので、自分の愛車を強化して強力なモンスターと戦う、という要素そのものを本能的に好む。また、戦車装備のカスタムという要素は、まだまだ原始的で不完全ではあったが、キャラクターのビルドというスキルシステムを先取りしていた。ロマンの上でもシステムの上でも、戦車という要素がMMシリーズの核になっていたのは間違いない。

 

もう一つはポストアポカリプス的世界観。

中世ファンタジーや現代、あるいは近未来サイバーパンク的世界観に比べて、文明崩壊後の世界観を扱った作品は非常に少なかったように記憶している。今でこそゾンビアポカリプスものの流行や Falloutシリーズによってよく扱われる題材になっているが、これも時代を非常に先取りしていたと言える。また、崩壊後の世界での人々の生活を描いていたことも魅力的だった。シナリオ内外を通じて街中の名もないモブからDrミンチや バトー博士のような奇人変人、レッドウルフのようなシリアス路線のエピソードまで、崩壊後の世界で生きる人を魅力的に描いていた。あの独特の陽気さやたくましさには妙なリアリティを感じたものだ。

 

最後の一つが自由度。

いきなり強敵を避けて強い戦車を発掘しに行くことも、ハンターを引退してゲームクリアしてしまうこともできた。これもプレイヤーにとっては崩壊後の世界を自分が生きているような感覚を得られるための非常に重要な要素だった。

 

さて、このメタルマックスゼノだが、戦車以外の魅力をばっさりと切り落としてしまっている。攻略ルートは完全に一本道、世界は完全に崩壊していて、本居地のシェルター以外に生存者はほぼいない。見た目は同じような文明崩壊後の世界ではあるが、自由度もなければそこに生きる人々もいないという点でメタルマックスにおいてプレイヤーが冒険する「舞台」であったワールドマップが、ただのハックアンドスラッシュ作業のためのマップになっているのが本作だと言える。シナリオも極めて薄っぺらい。別に旧来のメタルマックスのシナリオも重厚というわけではなかったが、あの独特の雰囲気に乏しい。織田non氏の絵がエロいことだけが救い。ミサキが男なのは完全に余計だが。

 

一方で、戦車をカスタマイズして強敵を狩ってまた戦車を強くするという部分においては従来通りの面白さで、特に敵の弱点を突くのが重要なのでビルドを考える楽しみもそれなりにある。難度はそれなりに高く、弱点を的確に突いて主砲、副砲の使い分けを考える必要がある程度には難しい。最終的にネフテクキャノンありきの難度調整になっているが、これは過去作の220mmガイアと同じような位置づけだろうか。

 

総合的に見て、メタルマックスというIPを使っての安価な製作コストで作れるダンジョン探索型RPGへのチャレンジというところだろうか。この方向はこの方向でハックアンドスラッシュ要素を深堀されるなら楽しみではある。

またUIはロードが異常に早かったり、ファストトラベルの使い勝手も良好など概ね良好だが、戦車管理の格納庫周りが非常に使いづらい。画竜点睛を欠いている。