zenioのゲーム記録

自分用ゲームプレイ日記

【レビュー】ゼノブレイド2

 

2017年発売のゼノブレイドシリーズ二作目。

若干のアクション要素のあるJRPG

シリーズ作品を通して未プレイだった。

 

 

結論は「引き算のできていないゲーム」。

名作になるポテンシャルを持ちながら、いくつかの要素が徹底的に噛み合わずに作品全体が台無しになっている。以下のレビューは悪口の方が多くなるが、一応弁護しておくと決してクソゲーではない。プレイ時間は一応100時間を超えてゲームクリアまでは到達した。100時間遊ばせるだけのものはあった。

メインシナリオは王道ではあるが、それほど引き込まれるほど上手いわけでもない。

キャラクターの魅力もさほどない。特にヒロインのホムラはあまりにも影が薄い。

ギャグも寒い。ただ批判の多い亀頭ネタに関してはありよりのあり。ネタそのものはともかくあ反応はいいんじゃないですかね。

ブレイド個別のサブシナリオの出来は酷い。全然面白くない。クリア後、二周目の楽しみにならない。ちょっと開発に金かけてるソシャゲのシナリオの方がよっぽどマシに感じられるレベル。

 

傭兵団の派遣に関わるUIはクソだがそれ以外は概ね良好なUI。ただ致命的なのはまともなチュートリアルがないこと。シナリオ進行中にぼちぼち説明は入るが分かりにくいし後からもう一度見ることができない。この複雑なゲームシステムでまともなチュートリアルを用意しないのは設計者の正気を疑う。

文章の切れ端を金で買うことによってプレイヤー自身が主体的にヘルプ機能を作り上げるという斬新な試みについてだが、試みる前から失敗することが分かっているチャレンジというものがあって、これはその最たるものだ。このゲームの製作者が政治的な権力を有していなくて本当に良かった。

別にチュートリアルやヘルプがなくとも、WEBで調べれば問題ない…のだが、WEBの攻略情報は誰が仲間になる、等のネタバレ情報をほぼ100%含んでいて、たいしたことないシナリオとはいえあまりお勧めできない。

 

さらに問題はゲームシステムの方である。

先に用語を説明させてもらうと、キャラクターにはドライバーとブレイドという二種類の属性が存在していて、ドライバーというのは普通の戦闘キャラ、ブレイドというのはゲームシステム上、ドライバーにとって付け替え可能な装備品扱いである。ジョジョのスタンドやペルソナリシーズのペルソナをイメージしてもらえれば近い。

 

非常に複雑なバトルシステムだが、システムを理解し最適なパーティ編成を組み上げてブレイドコンボとドライバーコンボを的確にぶち込めるようになると今まで見たこともないようなダメージが叩き出せて極めて爽快である。ドライバーコンボを最後まで繋いだ時にアイテムがドバドバ落ちるのもたまらない。戦闘やフィールドで特定のアチーブメントを達成することによってブレイド(のキズナリングが埋まっていくと、そのたびに目に見えてパーティの強化が進んでいくのも楽しい。RPGの戦闘システムの根幹の部分はとても出来が良い。

 

が、その他の様々な仕様が徹底的にこのゲームの楽しさを阻害している。

例えばブレイドの育成。上記のコンボを組んでいくのが楽しいゲームだと書いたが、コンボを成立させるためのブレイドの組み合わせがある程度限定される。一方でブレイドを育てる(=信頼度を上げる)ために育っていないキャラを前線に出さざるを得ないので、強いパーティをわざわざ崩して弱いパーティで戦わさせられるというストレスをゲーム終盤まで強いられることになる。

ちなみにゲーム終盤になって気づいたのだが、「ポーチアイテム」という消耗アイテムを使いまくることで信頼度は簡単に上げられる。が、店で買ったアイテムをひたすらボタン連打してキャラクターに与えることで信頼度が上げられるというクソみたいな抜け道を許すなら、最初から戦闘で使い込むことによって信頼度が上がるなどというシステムを採用するなと言いたい。

 

さらにブレイドの入手がガチャ仕様なのも意味が分からない。プレイヤーは気に入ったキャラを使いたいに決まっている。しかもブレイドはパートナーになった戦闘キャラ専用のブレイドになってしまうので、どのキャラにどのブレイドをくっつけるかというのは戦略上非常に重要な要素になるのに、それが完全に運任せになってしまうのである。ソシャゲのキャラ入手がガチャなのは分かる。集金システムだからだ。しかし都度課金制のキャラゲーでもなく、短時間の周回前提のローグライクでもないこのゲームになぜガチャ仕様を導入しようと思ったのか、理解の範疇を超えている。たぶん、ガチャが流行っているので導入してみるか、くらいの思い付きで採用したのだろう。このゲームにはいたるところに深く考えずにノリで採用したとしか思えない要素が山盛りになっていて、「引き算のできていないゲーム」としか言いようがない。

 

ブレイド周りに関しての不満はまだまだあって、例えばナナコオリというキャラは育ち切ればなかなか強力なブレイドなのだが、その育成には尋常ではない手間がかかる。どれくらいかかるかというと普通にゲームをプレイしているとクリアしてもまだイベントが終わらないくらいのボリュームがある。さらにこのイベントを進めて行くには傭兵団という形でナナコオリを派遣していく必要があるのだが、傭兵団に参加させている間はパーティに編成することができない。さらにこのナナコオリのクエストを最後まで終わらせようとすると、必要になるスキルの都合上、ガチャで必ず「ユウオウ」というブレイドを引かないといけない。

 

そもそも傭兵団のシステムはこれでよかったのかとか(返ってくるたびに再出発させるのがめんどくさい、毎回パーティを1から編成しなおさないといけないのがめんどくさい、クエストそれぞれに受注条件として必要スキルがあるのにブレイド一覧のフィルタ機能がない)、雲海の満ち引きというシステムがゲームの面白さにわずかでも繋がっているのか、宿屋でボーナスレベルアップというシステムは必要なのか、言い出せばキリがないくらい本来なら削られるべきだった余分な要素が多すぎる。

 

ゲーム制作における引き算の重要性を教えてくれるゲームではあった。