【レビュー】ORWELL
現代の架空の国を舞台にしたアドベンチャーゲーム。
エシュロンや金盾のような大規模な情報監視システムが運用され始めたという時代背景の中、あるテロ事件の真相を突き止めるため、捜査機関の一員として 監視カメラ、WEBサイト、メール、電話、果ては個人のPCのデスクトップまで覗き見しながら首謀者を探し出す。
ゲーム自体はテキストや音声を読み進めながら、マークアップされた重要キーワードのうちどれを報告して、どれを報告しないかによって多少展開に変化があるが、難度的にはそれほど高くない。が、日本語への翻訳の質が高くないことによって少し難しくなっている。
ストーリーもそこそこ面白く、4~5時間もあればクリアできる。何よりも他のゲームではちょっとできない体験ができるので、わりとお勧め。 タイトルにもなっている「ORWELL」はアメリカの作家ジョージ・オーウェルから取られており、オーウェルの「1984年」のように監視社会がテーマとなっている。が、SF感はあまりない。技術的には現代レベル。
以下ネタバレ感想
序盤のターゲットとして登場するカサンドラはなんというか、よくいるいけすかないタイプの人間。金持ちの娘でよくわからんアートをやりながらヒステリックで薄っぺらい政治観をSNSで開陳するタイプ。
で、その後に登場するニーナという人物も最初は似たようなヒステリックなタイプか…と思わせておいて、軍人として夫を失い、自身も後遺症が残るほどのケガを負いながらシングルマザーとしてて過酷で不安定な低賃金労働をこなして生きていることが明らかになる。ここのプレイヤーの視点を大きくシフトさせる見せ方は非常に良かった。